関係者インタビュー

若狭和田ライフセービングクラブ 代表 細田直彦

ライフセーバーの仕事とは

若狭和田ライフセービングクラブでは、ブルーフラッグの取得を目指しています。そして、ライフセーバーの数を増やすために、ライフセーバー講習会の回数を通常の倍行い、新加入が15名増え、全員で70人ほどのメンバーがいます。月1回練習会をしています。また資格を持っている 大阪体育大学の学生4名を8月11日から 24 日まで受け入れ、安全管理体制を強化しています。ライフセーバーは、浜を見張るタワー3基から広いエリアを監視する人、タワーとタワーの間を巡回して監 視をする人(ビーチが1.2kmと広いため)、本部で応急手当や迷子の対応する人、事故が起きた時にフォローをする人、休憩のローテーションで仕事しています。ライフセーバーと聞くと、救助活動を行う人に思わ れがちですが、溺れている人を出さないための活動であり、監視を行い、溺れそうな人や溺れる危険がある人には声を掛け、泳いでいる場合には連れて帰る活動をしています。新しい取組としては、ブルーフラッグ推進部会で健常者だけが入れる海水浴場はおかしい、という話になり、「おひさま」と若狭和田ライフセービングクラブが協働して、障がいをもつ子どもたちが海で遊べるイベントを行うことにしました。「おひさま」が部会に参加しているので、一緒にできることを考えました。

認証に向けての課題

部会では、ライフセービングとブルーフラッグ、海とハンディキャップなどをキーワードにいろいろなアイデアを出しあえるようになってきました。高浜国際交流協会との関わりは、ALT のチャン氏がライフセーバーになるトレーニングをしているので、チャン氏と何かできないか、という話はしています。しかし、課題も山積みです。第三者が和田地区の浜を見た時、既にブルーフラッグを取得している海外 のビーチと比べ、きれいなのかはよく分からない。他のビーチに比べて、民宿が少ない、英語が通じる宿がないといった問題もあります。また、海水浴客に和田地区の浜についてのアンケートなどを取っておらず、ニーズが把握できていません。今の状況でブルーフラッグを取得したとしても、ブルーフラッグの価値を継続的に 保てるか不安です。そして、ブルーフラッグは国際認証ですが、ブルーフラッグ推進部会では誰もブルーフラッグを取得した海外のビーチへ行ったことがなく、それぞれが思い描いているブルーフラッグを取ろうとしています。他の認証ビーチがどのような状況で管理運営をしているかを知らないまま、ブルーフラッグ認証を取得すると、ブルーフラッグのネームバリューで海外の方が高浜に来られても、浜はきれいかもしれないけれど、他の面で期待外れになってしまうかもしれません。世界の基準と日本の基準には、差があるかもしれません。今は高浜町の海 岸の基準でブルーフラッグを見ている状態です。書面上の規定はクリアできますが、ブルーフラッグを取得し た海外のビーチについて、インターネットで少し調べた程度しか知らない状況でよいのか心配しています。ブルーフラッグについては取得するためのプロセスが大事だと考えています。平成28年に取得するという 短期間の準備だと、そのプロセスが成熟しません。認証取得のプロセスが未成熟のままで、ブルーフラッグを取得すると、この程度の努力で取得できるのかという認識にならないか危惧しています。ブルーフラッグ推進部会は会議や活動において盛り上がっていますが、地域住民はブルーフラッグについて聞いていない、知らないと言います。ブルーフラッグ推進部会のメンバーだけが動いているような温度差を 実感として感じています。地元住民とブルーフラッグ推進部会メンバーとの溝や情報の格差ができつつあるので、どう埋めるか考えなくてはいけません。ブルーフラッグ推進部会のメンバーは月2時間の会議4回、計8時間でようやくブルーフラッグの意味を分かってきました。今はまだ住民に説明していてもブルーフラッグの意味の理解まで到達していません。この半年のブルーフラッグ推進部会の動きは、住民に十分に伝わっていなく、部会のみが先に進んでいるように思えます。ブルーフラッグを取るためには、市民をどう巻き込むかが重要な課題です。和田地区には約3,000人の 住民がいます。しかし、町民への周知、理解促進のためにすべきこと、できることについてはこれまであまり考えてきませんでした。部会のメンバーが住民にブルーフラッグの価値観を説明して、理解しあう場を作っていかないといけないと考えます。公民館の定期的な活動にブルーフラッグの理解につながる内容を盛り込 んでいく、ブルーフラッグの冊子を配布する、などすべきことがたくさんあります。Tシャツとのぼりを使ってのPRは進んでいますが、まだまだ周知は十分ではありません。予算があれば、住民に理解してもらうためのチラシや広報ツールを作りたい。毎日10分行うごみ拾いに参加した人たちにチラシや広報物を配布することはできます。また、和田地区の住民の 30%が「定期的に行われる海岸清掃」に参加しています。しかし、4月の「定期的に行われる海岸清掃」の場でブルーフラッグについて話をしませんでした。ブルーフラッグ推進部会があることさえ、地域住民に知られていないのではないかと思います。9月中旬以降、海の利用が落ち着くので、今後我々のクラブに何ができるか話し合いたいと考えています。まずは自分たちにできることをしていきます。犬の散歩に関しては、犬の散歩ができないと言うと、毎日散歩させていたのに、と言われてしまうので、規制をするのではないことを言い方を工夫して上手く言わなくてはいけません。年1回のシンポジウムだけでは不十分なので、住民を巻き込む方法を考えて動いていか ないといけない。理解していただくために、いろいろな施策をしていかないといけません。

【インタビュー協力】環境省中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)