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円覚寺派管長 横田南嶺著「禅の名僧に学ぶ 生き方の知恵」から、自らを戒め人を導いた座右の銘(9ヶ条)及び代表的な和歌(3首)を紹介します。和歌は歌人の佐佐木信綱に習った。   

座右の銘

朝起きたら衣を着替える前に、布団の上でもいいから、線香1本が燃える間静かに坐る。

着物を着換えたら、まず神様仏様に手を合わせる。

眠る時間はきっちり眠る。眠るべき時でないときは眠らない。食事も腹一杯食べないで腹八分目にしておく

客に接する時は、客のことを意識しないでゆったりとした気持で応対する。独りでいる時は、客が前にいるように自分の身を慎む。

軽々しくものを言わない。言ったことは行う。言うことと行うことが一致。

仁を行うときには誰にも遠慮することはない。しかし、それが本当に大事なことであるのかどうか、もう一度よく考えなさい。

いつまでも過去のことを想うのではなく、遠い将来のことを考えよ。

事に当たっては勇ましい気持を持ち、それでいて同時に赤ん坊のような繊細な心も忘れるな。

夜、布団に入るときは棺桶に入って蓋をするつもりで寝ろ。一日一生、今日で自分の一生が終わるぐらいの気持で休め。朝起きて布団を離れるときは靴を脱ぐが如く、サッサと出ろ。もうちょっと寝ていたいとぐずぐずするな。

和歌

心より やがてこころに伝ふれば さく花となり鳴く鳥となる

大切な教えを人から人へ、心から心へ伝えていけば、それは必ず花となって開くであろう、鳴く鳥となって現れるであろう。

いく世へて 朽ちぬ心のほの見えぬ 雪間ににほふ老梅の花

雪の間に梅の老木に花が咲いているのは、どんな時代にあっても変わることのない心のようなものではないか。

人のため 世のためつくる罪ならば 我は厭(いと)はじ地獄の火をも

人のため世のために尽くしていくのであれば、たとえ地獄の中でも自分は恐れることはない。